旗竿地の解体費用は、建物の坪数だけでは決まりません。前面道路から伸びる細い通路(竿)の幅と長さで、重機が入れるか、廃材をどう運び出すかが変わり、それが費用に直結します。

費用を調べる前に、竿の幅と長さを測ってください。この2つの数字は、費用の見当をつけるためだけでなく、解体後にその土地へ建て直せるかどうかの判定にも使います。この記事では、ご自身で測れる数字から順に整理します。

Contents
  1. 旗竿地の解体費用が高くなる理由
    1. 旗竿地とは
    2. 整形地との違いは運び出し方
    3. 割増率という言い方の読み方
    4. 整形地と旗竿地で変わること
  2. まず測りたい竿部分の4つの数字
    1. 1 竿の幅(最も狭いところ)
    2. 2 竿の長さ
    3. 3 高さの制限
    4. 4 曲がり角の有無
    5. 測る項目と、費用・手続きへの影響
  3. 解体前に確認したい再建築の可否
    1. 接道義務という考え方
    2. 愛知県では竿の長さによって必要な幅が変わる
    3. 基準を満たさない場合にどうなるか
    4. 相談先
    5. 前面道路が狭い場合のセットバック
  4. 費用の内訳と、旗竿地で増える項目
    1. 仮設工事
    2. 解体作業
    3. 小運搬
    4. 廃棄物の運搬と処分
    5. 整地
    6. 内訳項目と、旗竿地で増える理由
  5. 重機が入るか入らないかの分かれ目
    1. 使える重機の大きさは竿の幅で決まる
    2. まったく入らない場合の進め方
    3. 廃材はどうやって運び出すのか
    4. 隣地を一時的に借りるという選択
    5. 工期への影響
  6. 近隣への配慮と道路の手続き
    1. 竿の両側が隣家であることの意味
    2. 道路使用許可と道路占用許可
    3. 挨拶の範囲と時期
  7. 解体前に必要な届出
    1. 建設リサイクル法の届出
    2. アスベストの事前調査は規模に関わらず必要
    3. 名古屋市の窓口と期限
  8. 解体後の土地と固定資産税
    1. 住宅用地の特例
    2. 更地にすると翌年から変わる可能性
    3. 旗竿地ならではの判断材料
    4. 解体以外の選択肢もあわせて検討する
  9. 見積書で確認したい項目
  10. よくある質問
  11. まとめ

旗竿地の解体費用が高くなる理由

旗竿地とは

道路に接している部分が細長い通路になっていて、その奥に建物を建てる敷地が広がっている土地です。通路部分を「竿」、奥の敷地部分を「旗」に見立てた呼び名です。建築の分野では路地状敷地、敷地延長(略して敷延)と呼ばれることもあります。

都市部では珍しくない形です。広い土地を分割して売る際に、奥側の区画がこの形になります。

整形地との違いは運び出し方

解体工事でやることは、旗竿地でも整形地でも変わりません。建物を崩し、種類ごとに分けて、トラックで運び出します。

違いは運び出す経路です。

道路に面した整形地であれば、建物のすぐ横にトラックを着けられます。重機で崩したものを、そのまま機械で積み込めます。ところが旗竿地では、建物と道路の間に細い通路があります。トラックは道路に停めたままで、そこまで廃材を運ばなければなりません。

この「現場からトラックまで人の手や小型の機械で運ぶ作業」を小運搬と呼びます。旗竿地の費用が上がる最大の要因がこれです。

さらに竿が狭ければ、重機そのものが奥まで入れません。入れなければ、建物を人の手で崩すことになります。これを手壊しと呼びます。作業日数が延び、必要な人数も増えます。

割増率という言い方の読み方

インターネット上では「旗竿地は整形地の1.5倍から2倍」といった割増率が示されることがあります。目安としては分かりやすいのですが、この数字だけで判断するのは危険です。

割増率は、竿の幅がどれだけ狭いか、長さがどれだけあるかによってまったく変わります。竿が幅3メートル・長さ5メートルの旗竿地と、幅2メートル・長さ25メートルの旗竿地では、同じ「旗竿地」でも作業内容が別物です。前者は小型重機が入りますが、後者はほぼ手作業になります。

割増率を聞くより、自分の竿が何メートルかを測る方が確実です。

整形地と旗竿地で変わること

同じ建物でも、旗竿地では次の点が変わります。変わるのは建物そのものではなく、それを取り巻く条件です。

作業 整形地 旗竿地
重機の進入 建物の周囲を回れることが多い 竿の幅次第。入れない場合もある
廃材の積み込み 重機でトラックへ直接 小運搬で道路際まで運ぶ
足場の資材搬入 車両から直接 人力で通路を通す
作業日数 建物規模でおおむね決まる 手作業の比率で延びる
近隣への配慮 建物の周囲 通路の両側の隣家にも必要

まず測りたい竿部分の4つの数字

見積もりを依頼する前に、ご自身で確認できることがあります。特別な道具は要りません。メジャーがあれば足ります。

次の4つを測っておくと、業者との話が具体的になります。

公道から細い進入路と奥の広い敷地を見渡し、入口幅を測定する作業イメージ

公道・細い進入路・奥の敷地を確認し、入口の最狭部を測る

1 竿の幅(最も狭いところ)

もっとも重要な数字です。使える重機の大きさが、この幅で決まります。

注意したいのは、幅は一定とは限らないことです。入口は広くても、途中に門柱があったり、隣家の塀が張り出していたりして、どこか一箇所だけ狭くなっていることがあります。重機が通れるかどうかは、その最も狭い箇所で決まります。

竿の入口から奥まで歩きながら、いちばん狭いところを探して測ってください。

2 竿の長さ

道路から建物の敷地に入るまでの距離です。

この長さが小運搬の距離になります。長ければ長いほど、廃材を運ぶ往復の回数と時間が増えます。また後述しますが、この長さは再建築に必要な幅を決める要素にもなります。

3 高さの制限

見落とされやすい項目です。幅が足りていても、高さで通れないことがあります。

  • 竿の上を横切る電線
  • 隣家の庇や樋の張り出し
  • 門扉の上枠やアーチ
  • 樹木の枝

重機は幅だけでなく高さもあります。上を見上げて、通路の上に何があるかを確認してください。電線がある場合は、工事の際に電力会社へ一時的な移設や防護を依頼することがあります。

4 曲がり角の有無

竿がまっすぐでない場合、幅が足りていても車両や重機が曲がれないことがあります。

車は曲がるときに、前輪より後輪が内側を通ります。この差を内輪差といいます。直線なら通れる幅でも、曲がり角では余分な幅が必要になります。

測る項目と、費用・手続きへの影響

測る項目 測り方 影響
竿の幅(最狭部) 入口から奥まで歩き、いちばん狭い場所でメジャーを当てる 使える重機の大きさ、手壊しの比率、再建築の可否
竿の長さ 道路境界から敷地の入口まで 小運搬の距離、再建築に必要な幅
高さの制限 通路の上を見上げ、電線・庇・門扉を確認 重機の搬入可否、電線防護の要否
曲がり角 竿がまっすぐか、曲がりがあるか 車両・重機の進入可否

写真もあわせて撮っておくと確認が早くなります。道路から見た竿の入口、竿の途中から奥を見た様子、いちばん狭い箇所、通路の上を見上げた様子の4枚があれば十分です。

測れない項目、分からない項目は無理に埋めず、「分からない」と伝えてください。現地調査で確認できます。推測で伝えると、後から金額が変わる原因になります。

解体前に確認したい再建築の可否

費用の話に入る前に、先に確認しておいていただきたいことがあります。

解体した後、その土地に新しい建物を建てられるかどうかです。

旗竿地では、竿の幅が基準に満たないために建て替えができない場合があります。建物が建っている間は問題なく住めていても、いったん壊すと新しく建てられない、ということが起こり得ます。

接道義務という考え方

建築基準法は、建物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています。これを接道義務といいます(e-Gov法令検索 建築基準法、2026年8月29日確認)。

火災や災害のときに、消防車や救急車が近づけること、中にいる人が逃げられることを確保するための決まりです。

旗竿地の場合、道路に接しているのは竿の入口部分だけです。ここが2メートル以上あるかどうかが、最初の関門になります。

愛知県では竿の長さによって必要な幅が変わる

さらに重要な点があります。建築基準法は、地方公共団体が条例で制限を付け加えることを認めています。

愛知県ではこれを受けて、竿の長さに応じて必要な幅を段階的に定めています(愛知県建築基準条例第6条)。

竿(路地状部分)の長さ 必要な幅
15メートル未満 2メートル以上
15メートル以上25メートル未満 2.5メートル以上
25メートル以上 3メートル以上

出典:愛知県建築基準条例・同解説(2026年8月29日確認)。名古屋市も敷地と道路との大切な関係で同じ基準を掲載しています(同日確認)。

つまり、竿が長いほど、より広い幅が求められます。幅2メートルちょうどで長さが20メートルある旗竿地は、愛知県の基準では足りないことになります。

この数値は愛知県の条例によるものです。通路の幅の基準は都道府県の条例で定められており、地域によって異なります。愛知県外の土地について、この表の数値をそのまま当てはめないでください。その地域の自治体の窓口でご確認ください。

先ほど「竿の幅と長さを測ってください」とお伝えしたのは、費用のためだけではありません。この判定に直結するためです。

基準を満たさない場合にどうなるか

基準を満たさない場合、建て替えができない、あるいは制限を受ける可能性があります。

ただし、満たさないから必ず建てられない、と決まるわけではありません。条例にはただし書きがあり、周囲の空き地の状況などから安全上・防火上の支障がないと特定行政庁(建築確認や許可を担当する行政機関。名古屋市の場合は市が該当します)が認めた場合には、適用が除外されることがあります。名古屋市には建築基準法第43条に基づく接道許可の制度もあります(2026年8月29日確認)。

判断するのは行政です。当社が可否を判定することはできません。

相談先

解体を決める前に、次のいずれかへご相談ください。

  • 名古屋市内であれば、名古屋市住宅都市局の建築指導を担当する窓口
  • 設計や建築を依頼する予定の事務所

「この土地に、いま建っている建物を壊した後、新しく家を建てられますか」と尋ねてください。測った竿の幅と長さを伝えると話が早く進みます。

この確認を先にしておけば、壊してから困る事態を避けられます。

前面道路が狭い場合のセットバック

竿が接している道路そのものが狭いこともあります。

幅が4メートルに満たない道で、特定行政庁の指定を受けたものに接している場合、道路の中心線から2メートル後退した線が道路の境界とみなされます。これをセットバックといいます。後退した部分は敷地面積に含められません名古屋市、2026年8月29日確認)。

名古屋市には、この後退用地を通路として整備する場合に費用を助成する生活こみち整備促進事業があります。また、接道許可の対象となる通路を広げる場合の特定通路かど地拡幅整備支援事業もあります(いずれも同日確認)。

制度の内容や受付状況は年度によって変わります。利用を検討される場合は、市の担当窓口で最新の情報をご確認ください。

費用の内訳と、旗竿地で増える項目

ここから費用の話に入ります。見積書は総額だけでなく、内訳を見ることで納得して判断できます。

この記事で示す金額はすべて条件つきの目安です。全国一律の定価があるわけではなく、当社(名古屋市で解体工事を行う株式会社エム・ユー/未来に繋げる解体ミライズ)の定額料金でもありません。

仮設工事

足場を組み、防音・防塵のシートで建物を覆う工程です。工事中に周囲へ傷や粉じんが及ばないようシートなどで覆うことを養生といいます。

旗竿地では、足場の資材を人の手で通路を通すことになる場合があります。トラックから直接下ろせないため、その分の手間が加わります。また竿の両側が隣家に接していれば、通路側にも養生が必要になることがあります。

解体作業

建物を崩す工程です。重機による作業と、人の手による作業に分かれます。

竿の幅で使える重機が決まり、それによって手作業の比率が決まります。この比率が、旗竿地の費用差の中心です。

小型の重機が奥まで入れば、作業は比較的スムーズに進みます。まったく入らなければ、屋根から順に人の手で解体していくことになり、日数が大きく延びます。

小運搬

旗竿地で最も増えやすい項目です。

崩した廃材を、建物のある奥から道路際のトラックまで運ぶ作業を指します。一輪車で運ぶ、手で抱えて運ぶ、小型の運搬機械を使うなど、竿の条件によって方法が変わります。

費用は次の要素で変わります。

  • 竿の長さ(往復の距離)
  • 竿の幅(一輪車が通るか、人が抱えるしかないか)
  • 段差や勾配の有無
  • 曲がり角の有無

見積書に小運搬の項目があるか、その数量の根拠が書かれているかを確認してください。「一式」とだけ書かれていると、後から金額が動く余地が残ります。

廃棄物の運搬と処分

トラックに積んだ後、処分場まで運んで処分する費用です。ここは旗竿地かどうかで大きくは変わりません。ただし、前面道路が狭くて大型トラックが入れない場合は、小型車で往復することになり、回数が増えます。

整地

建物を撤去した後、地面を平らにならす作業です。旗竿地では重機が入りにくいため、整地も人の手が中心になることがあります。

内訳項目と、旗竿地で増える理由

項目 旗竿地で増える理由
仮設工事 資材を人力で通路を通す。通路側にも養生が必要になる
解体作業 重機が入らない分を手作業で補う。日数と人数が増える
小運搬 建物から道路際まで廃材を運ぶ。竿の長さと幅で変わる
運搬 前面道路が狭いと小型車で往復回数が増える
整地 重機が使えない範囲は人の手になる
諸経費(現場管理などにかかる費用) 工期が延びる分、現場管理の期間が延びる

ご自身の竿の条件が分かれば、どの項目がどれだけ増えそうかの見当がつきます。現地の条件は写真と寸法があれば、おおよその見当をお伝えできます。

未来に繋げる解体ミライズ株式会社エム・ユー

旗竿地の解体費用についてご相談ください

相談・お見積もり無料

重機が入るか入らないかの分かれ目

使える重機の大きさは竿の幅で決まる

解体で使う重機には大きさの段階があります。小さいものほど狭い場所に入れますが、一度に扱える量は減ります。

竿の幅が広ければ標準的な大きさの機械が入り、作業は速く進みます。幅が狭くなるほど小型の機械しか入らず、同じ建物を崩すのに時間がかかります。

幅が数十センチ違うだけで、使える機械の段階が変わることがあります。だからこそ、最も狭い箇所を正確に測る意味があります。

まったく入らない場合の進め方

竿が狭く、どの機械も入らない場合は、人の手で解体します。

屋根の瓦や板を外し、壁を外し、柱と梁を切り分けて、運べる大きさにしてから通路を通します。機械であれば数日で終わる規模でも、手作業では相当な日数がかかります。

この場合、費用の大部分は人件費になります。日数と人数の想定が見積書に書かれているかを確認してください。

廃材はどうやって運び出すのか

「重機が入らないなら、どうやって外に出すのか」という疑問はもっともです。実際には竿の条件に応じて方法を使い分けます。

  • 小型のクローラー運搬車:幅がおおむね1メートル前後から通れる機械です。荷台を備えており、一度に運べる量が手作業より多くなります。
  • 一輪車(ねこ車):さらに狭い通路でも通ります。人が押して運ぶため、量と速度は落ちます。
  • 手運び:段差や急な曲がりがあり車輪が使えない場合の方法です。木材や瓦を人が抱えて運びます。

いずれの方法でも、建物を通路の幅に収まる大きさまで小さくしてから運ぶという手順は共通です。柱や梁は切り分け、屋根材はまとめて縛ります。この「小さくする作業」自体にも手間がかかります。

竿に階段や大きな段差がある場合は、仮設の斜路を組むことがあります。この費用が別途かかる場合もあるため、段差があるなら見積もりの前に伝えてください。

隣地を一時的に借りるという選択

隣の敷地に空きがあり、所有者の了解が得られる場合、一時的に通路として借りることで工事が進めやすくなることがあります。

ただしこれは当事者間の合意が前提です。借地料が発生する場合もあります。業者が勝手に交渉できるものではなく、所有者ご自身と隣地の方との話し合いが基本になります。

工期への影響

工期が延びると、費用だけでなく生活面にも影響します。

  • 近隣への騒音・粉じんの期間が延びる
  • 現場管理の期間が延び、諸経費が増える
  • 解体後の予定(売却、建て替え)が後ろにずれる

見積書には金額だけでなく、想定工期も書いてもらってください。

近隣への配慮と道路の手続き

竿の両側が隣家であることの意味

旗竿地の竿は、多くの場合、両側が他の家の敷地です。

工事の車両や作業員が通るのはこの通路ですから、隣家の窓のすぐ横を毎日通ることになります。粉じんや騒音も、通路を挟んで直接届きます。

整形地の工事より、近隣への配慮が結果に直結します。養生の範囲、作業時間帯、通路の清掃について、業者と事前に確認しておいてください。

道路使用許可と道路占用許可

竿が狭く敷地内に車両や資材を置けない場合、前面道路を使うことになります。このとき手続きが必要になる場合があります。

手続き 内容 申請先
道路使用許可 工事や作業のために道路を使用する場合。道路交通法に基づく 所轄の警察署
道路占用許可 道路上に足場、仮囲い、資材置き場などを設ける場合。道路法に基づく 道路管理者(市道であれば市)

出典:e-Gov法令検索 道路交通法道路法(いずれも2026年8月29日確認)。

両方が必要になる場合もあります。手続きは通常、工事を請け負う業者が行います。ただし、必要かどうかの判断と申請の手間は工程に影響するため、見積もりの段階で確認しておいてください。

挨拶の範囲と時期

旗竿地では、挨拶する範囲を広めに考えることをお勧めします。

建物に隣接する家だけでなく、竿の両側の家、そして竿の入口の向かい側の家まで含めると安心です。工事車両の出入りで影響を受ける範囲だからです。

時期は工事の数日前が一般的です。挨拶の詳しい進め方は家の解体前の近所挨拶|時期・範囲・手土産を解説にまとめています。

解体前に必要な届出

規模によって必要になる手続きと、規模に関わらず必要になる確認があります。混同されやすいので分けて説明します。

建設リサイクル法の届出

一定規模以上の解体工事では、分別解体と再資源化が義務づけられ、着工前に届出が必要です。

対象となるのは、建築物の解体工事で床面積の合計が80平方メートル以上の工事です(環境省 建設リサイクル法の概要、2026年8月29日確認)。届出は発注者が都道府県知事に対して行うこととされています(国土交通省、同日確認)。

80平方メートルはおよそ24坪です。一般的な戸建て住宅の多くが対象になります。

旗竿地では、届出に添える分別解体等の計画に、現実的な搬出経路を書く必要があります。竿が狭ければ、その条件を踏まえた計画になります。

アスベストの事前調査は規模に関わらず必要

ここは誤解されやすい点です。

石綿(アスベスト)については、事前調査そのものと、その結果の報告とで義務の範囲が異なります。

建築物等を解体・改修する工事では、規模を問わず石綿含有建材の有無を調査する必要があります(環境省 石綿事前調査結果の報告について、2026年8月29日確認)。一方、調査結果を行政へ報告する義務が生じるのは、床面積80平方メートル以上の解体などの場合です。

また、建築物の事前調査は2023年(令和5年)10月1日以降に着手するものから、建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ者が行うこととされています(環境省、同日確認)。報告は原則として石綿事前調査結果報告システムを通じて行います(同日確認)。

旗竿地では現地への立ち入り経路が竿の一本に限られるため、調査の日程調整が整形地より制約されることがあります。早めに業者へ相談してください。

制度の詳細はアスベスト調査の義務化|対象工事・報告基準・資格まで解説で、除去が必要になった場合の費用はアスベスト解体の費用相場|事前調査と除去工事を解説で扱っています。

名古屋市の窓口と期限

手続き 対象 期限と提出先
建設リサイクル法の届出 床面積の合計80平方メートル以上の解体 着手の7日前まで/住宅都市局建築指導部建築指導課
石綿の事前調査 規模を問わずすべての解体・改修 着工前/有資格者が実施
石綿事前調査結果の報告 床面積80平方メートル以上の解体など 着工前/電子システムで報告

出典:名古屋市 建設リサイクル法の概要名古屋市 石綿の事前調査(いずれも2026年8月29日確認)。

石綿の除去作業を行う場合は、大気汚染防止法に基づく届出が別途必要になります。提出先と期限は工事場所の区によって異なるため、業者または市の窓口でご確認ください。

制度の運用は変わることがあります。着工前に最新の情報を確認してください。

解体後の土地と固定資産税

解体して更地にすると、土地の固定資産税がどうなるかを気にされる方が多くいます。制度の考え方を整理しておきます。

住宅用地の特例

住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準(税額を計算するもとになる評価額)を軽減する特例があります。これは地方税法に基づく全国共通の制度で、200平方メートル以下の部分は評価額の6分の1に、それを超える部分は3分の1になります(国土交通省が引用する地方税法の条文、2026年8月29日確認)。

また、固定資産税とは別に課される都市計画税についても軽減があります。名古屋市では200平方メートル以下が3分の1、超える部分が3分の2とされています。こちらは自治体によって扱いが異なります(名古屋市 固定資産税の概要、同日確認)。

判定は毎年1月1日時点の状況で行われます。

更地にすると翌年から変わる可能性

家を解体して更地にした場合、翌年の1月1日時点で住宅がなければ、この特例の対象から外れる可能性があります。

つまり、解体の時期によって、特例が適用される年度が変わります。建て替えを予定していて、解体から新築までに期間が空く場合は、この点を踏まえて時期を検討する意味があります。

なお名古屋市では、建て替えなどで一定の要件を満たし申告書を提出した場合、住宅用地として継続して取り扱われることがあるとされています(名古屋市、同日確認)。具体的な要件や様式は市の窓口でご確認ください。

旗竿地ならではの判断材料

旗竿地は、整形地に比べて売却しにくい傾向があります。買い手が再建築の可否を気にするためです。

更地にすれば買い手が見つかりやすくなる場合もあれば、逆に「建てられない更地」として評価が下がる場合もあります。先に再建築の可否を確認しておくことが、ここでも効いてきます。

一方で、傷んだ建物を放置し続けることにもリスクがあります。倒壊や飛散の危険、管理の手間、適切な管理が行われていない空き家についての制度もあります。

解体以外の選択肢もあわせて検討する

相続した家について考える場合、選択肢は解体だけではありません。

  • 建物を残したまま売る
  • 建物を残したまま貸す
  • 解体して更地で売る
  • 解体して建て替える

旗竿地では、この判断の前提として「再建築ができるか」が効いてきます。建てられない土地であれば、更地にして売るより建物を残す方が選択肢が広い場合もあります。逆に建物の傷みが激しければ、残すこと自体が難しくなります。

この記事は解体費用を扱うものであり、売却や賃貸との比較までは踏み込みません。ただし、解体を決める前に不動産の専門家にも一度相談されることをお勧めします。竿の幅と長さ、再建築の可否という情報は、その相談でもそのまま使えます。

当社が税額や売却価格を判断することはできません。税金は自治体の資産税担当窓口へ、売却は不動産の専門家へご相談ください。

見積書で確認したい項目

複数の業者から見積もりを取ったとき、総額だけを比べても判断できません。旗竿地では特に次を確認してください。

確認項目 見るポイント 理由
小運搬費 独立した項目があるか。距離や数量の根拠があるか 旗竿地で最も金額が動く項目
手壊しの範囲 どこまでを人の手で行う想定か 日数と人件費の前提になる
想定工期 何日を見込んでいるか 諸経費と生活への影響に直結
重機の種類 何を使う想定か 竿の幅と整合しているか確認できる
道路の手続き 使用許可・占用許可を誰が申請するか 費用に含まれるかが分かれる
養生の範囲 通路側にも行うか 近隣トラブルの防止に直結
追加費用の条件 地中埋設物(地面の下に埋まっている古い基礎や浄化槽など)が出た場合の扱い 後から金額が変わるのを防ぐ
整地の仕様 どこまで仕上げるか 認識の違いが起きやすい

特に小運搬費が「一式」とだけ書かれている見積書は、根拠を尋ねてください。旗竿地では金額の差がここに現れます。

また、現地調査を受けずに出された概算は、あくまで概算です。竿の条件は現地で見なければ判断できません。

よくある質問

Q

竿が狭くても解体できますか?

A

できます。重機が入らない場合は人の手で解体します。日数と費用は増えますが、解体そのものができないということはありません。

Q

相見積もりを取るときの注意点はありますか?

A

同じ条件を伝えることです。測った竿の幅と長さ、高さの制限、曲がり角の有無を、すべての業者に同じように伝えてください。片方だけに詳しく伝えると、比較になりません。

Q

解体後に建て替えできないと分かった場合はどうなりますか?

A

建て替えができない土地になります。だからこそ、解体の前に確認してください。この記事で繰り返しお伝えしている理由がここにあります。

Q

隣の家に傷をつけたらどうなりますか?

A

工事で隣家に損害を与えた場合、通常は施工業者が加入している保険で対応します。契約前に、業者がどのような保険に加入しているかを確認しておくと安心です。

Q

補助金は使えますか?

A

自治体によっては老朽化した建物の除却に対する補助制度があります。制度の有無、対象、受付状況は自治体ごとに異なり、予算に達すると受付が終了することもあります。お住まいの自治体の窓口で最新の状況をご確認ください。

Q

工事車両はどこに停めるのですか?

A

竿に停められない場合、前面道路に停めることになります。その際に道路使用許可などの手続きが必要になる場合があります。前面道路が狭い、交通量が多いといった条件は、事前に業者へ伝えてください。

まとめ

旗竿地の解体費用は、建物の大きさより竿の条件で変わります。次の順番で進めることをお勧めします。

1竿を測る幅(最も狭いところ)、長さ、高さの制限、曲がり角
2再建築の可否を確認する測った数字を持って行政または設計者へ
3見積もりを取る同じ条件を伝えて複数の業者へ依頼する
4内訳を比べる小運搬費、手壊しの範囲、想定工期

このうち1はご自身でできます。2は解体を決める前に済ませてください。壊してからでは戻せません。

業者選びで迷われている場合は、名古屋市の解体業者一覧|失敗しない選び方を解説もあわせてご覧ください。

ミライズは名古屋市を中心に解体工事を行っています。旗竿地など進入が難しい敷地の解体について、費用の目安や現地の条件のご相談を承っています。

未来に繋げる解体ミライズ株式会社エム・ユー

旗竿地の解体費用についてご相談ください

相談・お見積もり無料

※アイキャッチ・本文画像は生成イメージであり、ミライズの実際の施工・調査写真ではありません。