「家の解体前にアスベスト調査は必要なのだろうか」「小さなリフォームなら関係ないのでは」と迷う方は少なくありません。結論からいうと、建築物等の解体・改修を行う際には、工事規模にかかわらず、原則として石綿(アスベスト)含有建材の事前調査が必要です。
法令・制度・補助金は変わることがあります。契約・申請・着工前に、リンク先の最新情報と所管行政の案内をご確認ください。
- 解体・改修では、規模にかかわらず原則として着工前の事前調査が必要です。
- 事前調査、一定規模以上の結果報告、届出は別の手続です。
- 発注者は資格・範囲・担当・期限・受け取る記録を契約前に確認します。
ただし、ここで混乱しやすいのが、調査そのもの、調査結果の報告、特定粉じん排出等作業の届出が別の手続であることです。誰が行うか、どの工事で必要になるかも同じではありません。
この記事では、自宅・空き家・賃貸物件の解体やリフォームを初めて発注する方に向けて、アスベスト調査の義務、報告基準、資格、発注者として確認しておきたいことを、厚生労働省・環境省などの一次情報をもとに整理します。費用相場が知りたい方は、調査の義務を理解したあとで、費用専用の記事を確認するのが近道です。
アスベスト調査の義務|まず結論を確認
解体・改修工事では、規模にかかわらず事前調査が原則必要
アスベストの事前調査とは、工事で壊す・穴を開ける・剥がす・切断するなどの作業をする前に、対象部分の建材に石綿が含まれているかを確認することです。解体や大規模リフォームだけでなく、外壁塗装、屋根の補修、壁紙の張替え、エアコン取付、賃貸物件の原状回復などでも、工事内容によっては対象になります。
厚生労働省の石綿総合情報ポータルでは、解体・改修工事を行う際、規模の大小にかかわらず、解体・改修する部分の全材料について事前調査を行う必要があると案内されています。設計図書などがある場合は書面で確認し、現地では目視でも確認することが原則です。工事の元請業者のみなさまへ(石綿総合情報ポータル)
「建物が古いから必ず石綿がある」「新しいから調査不要」と単純には判断できません。建物の築年、改修歴、使われた建材、今回手を加える場所を確認して、法律上求められる手順で調査することが大切です。
「調査」「結果報告」「届出」は別のもの
アスベスト対策では、似た言葉が続くため、何を誰が行うのかが分かりづらくなりがちです。まず次の3つを分けて捉えましょう。
| 手続 | 何をするか | 主な義務者 | いつ必要か |
|---|---|---|---|
| 事前調査 | 石綿含有建材の有無を、書面・目視などで確認する | 元請業者または自主施工者 | 原則として全ての解体・改修工事 |
| 調査結果の報告 | 調査結果を自治体へ報告する | 元請業者または自主施工者 | 80㎡以上の解体、100万円以上の改造・補修など |
| 特定粉じん排出等作業の届出 | 飛散リスクの高い建材を扱う作業を事前に届け出る | 発注者または自主施工者 | 吹付け石綿・保温材等を扱う一定の作業 |
たとえば、戸建ての一部を小規模に改修する場合、結果報告の基準に達しないことはあり得ます。しかし、それは「調査も不要」という意味ではありません。逆に、結果報告をしても、石綿含有建材が見つかった場合には、別途、届出や飛散防止措置が必要になることがあります。
住宅所有者が最初にすること
工事を発注する側が、法律を一人で読み解いたり、調査を自分で行ったりする必要はありません。最初にすることは、施工業者へ「この工事は石綿の事前調査が必要ですか」「誰が、どの資格で、どこまで調べますか」と確認することです。設計図書、建築確認申請の副本、過去のリフォーム記録があれば、調査に役立つため共有しましょう。
見えない部分だからこそ、説明がないまま進めないことが大切です。ミライズでは、建物との最後のお別れや次の暮らしの始まりに関わる工事だからこそ、確認すべきことを一つずつ整理し、安心して次へ進めるための対話を大切にします。
アスベスト調査が必要になる工事とならない工事
解体・改造・補修を伴う工事が対象になる考え方
対象になるかを考える際は、工事名だけで決めず、建材に手を加えるかで考えます。家屋を取り壊す解体工事はもちろん、壁・天井・床・屋根・外壁・配管の保温材などを撤去、切断、穿孔、補修する工事も対象になり得ます。
環境省は、建築物等を解体、改造、補修する作業を伴う建設工事では、元請業者または自主施工者が石綿含有建材の使用の有無を調査する必要があると案内しています。石綿事前調査結果の報告について(環境省)
具体的には、次のような場面で事前調査を前提に相談するとよいでしょう。
- 空き家や実家を解体して土地を活用する
- 戸建ての屋根材・外壁材を撤去、張替え、補修する
- キッチン・浴室・トイレのリフォームで壁や天井、床を解体する
- 店舗や賃貸住宅を原状回復する
- 天井や壁に穴を開けてエアコン、配線、設備を取り付ける
- 倉庫、カーポート、ボイラー、煙突などの工作物を撤去・補修する
小規模工事でも「報告不要=調査不要」ではない
小さな工事では、「自治体への報告が要らないなら、アスベストの確認も不要では」と考えがちです。しかし、調査の義務と、一定規模以上の工事に課される結果報告の義務は別です。
石綿総合情報ポータルでは、エアコンの取付、壁紙の張替え、外壁工事、塗装、賃貸物件の原状回復といった小規模工事でも、元請業者が石綿使用の有無を調査すると案内しています。小規模工事等の着工前に必要な手続きについて(石綿総合情報ポータル)
見積書を受け取ったら、工事の金額だけを見るのではなく、事前調査がどのように扱われているかを確認してください。調査費が独立項目か、工事費に含まれるのか、必要に応じた分析調査はどう扱うか、石綿が見つかった場合の連絡手順はどうなるかを、契約前に言葉にしておくと安心です。
「築年が新しいから不要」と決めつけない
石綿の使用禁止時期を目安として語られることがありますが、所有者だけで築年から可否を決めることはおすすめできません。改修時に使われた材料、複数回の増改築、目視では確認できない部分などがあるためです。
調査では、設計図書などで使用材料や着工時期を確認したうえで、実際の建物を目視します。書類がない、材料が特定できない、目視だけでは判断しにくいといった場合に、分析調査を行う、または石綿含有として扱う判断が必要になることがあります。所有者に必要なのは「大丈夫そう」と結論を急ぐことではなく、有資格者による調査の範囲と結果を確認することです。

義務を負うのは誰?発注者・元請業者・自主施工者の役割
元請業者・自主施工者が行うこと
元請業者とは、発注者から直接工事を請け負う会社です。下請業者がいる場合でも、事前調査、調査結果の説明や必要な報告をまとめる立場として、まず元請業者が窓口になります。工事を請負契約によらず自ら行う場合は、自主施工者が同様の責任を負います。
元請業者または自主施工者が確認・実施する主な内容は、次のとおりです。
- 工事前に書面調査と目視調査を行う
- 必要な資格・要件を満たす者に調査を行わせる
- 調査結果と作業計画を発注者へ書面で説明する
- 規模基準に該当する場合、調査結果を自治体へ報告する
- 調査結果を記録し、3年間保存する
- 現場へ調査結果を備え付け、概要を掲示する
- 石綿含有建材が判明した場合、必要な届出・飛散防止措置を進める
施工業者に「アスベストはないと思います」と口頭で言われた場合も、そこで終わりにせず、どのような書面・目視調査を行ったか、書面による結果説明を受けられるかを確認しましょう。
発注者が行うこと、確認すること
発注者は、施主、家主、オーナーなど、工事を注文する人です。通常の調査・結果報告を施工業者が担う一方、発注者にも役割があります。
石綿総合情報ポータルは、発注者が施工業者へ設計図書や建築確認申請の副本など、調査に役立つ情報を提供するよう配慮すること、調査・除去に必要な費用を適正に負担し、施工業者が法令を守れる工期や作業方法に配慮することを案内しています。発注者・施主(石綿総合情報ポータル)
さらに、吹付け石綿や石綿含有の断熱材・保温材・耐火被覆材などを扱う届出対象作業では、地方公共団体への特定粉じん排出等作業実施届出を行うのは発注者です。施工業者が提出を代行するか、どの書類を誰の名義で出すかは、契約前に必ず確認しましょう。
発注者が「早く安く終わらせてほしい」と無理な工期を求めると、適切な調査や必要な手続をしにくくなるおそれがあります。期限や費用が発生する理由を理解したうえで、法令を守れる工程を組むことが、近隣への配慮や後のトラブル防止にもつながります。
工事前後に受け取る書類を整理する
契約・着工・完了の各段階で、何を確認するかをまとめると次のようになります。
| タイミング | 発注者が確認したい書類・内容 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 見積り前 | 調査者の資格、調査範囲、図面・改修履歴の共有方法 | 調査の前提が漏れていないかを確認するため |
| 調査後・着工前 | 事前調査結果と作業計画の書面説明、必要な報告・届出の担当 | 石綿の有無と、次に必要な手続を把握するため |
| 工事中 | 現場掲示、追加発見時の連絡方法 | 見えない工程を放置せず、変更を共有するため |
| 工事後 | 飛散防止措置の実施記録・写真など、契約上受け取る書類 | 工事の経過を確認し、将来の改修時にも役立てるため |
書類の名称や提出先は、工事内容・自治体によって異なります。全てを自分で提出するという意味ではなく、「何が必要で、誰が担当し、どの控えを受け取るか」を事前に揃えることが重要です。
調査結果の記録・掲示・説明も確認する
事前調査は、調べて終わりではありません。元請業者等は調査結果の記録を作成し、保存するとともに、工事現場へ備え付け、概要を見やすい場所へ掲示します。石綿が見つからなかった場合でも、どの範囲をどの方法で調査し、何を根拠に判断したかが分かる状態にすることが大切です。
調査結果の記録は3年間保存する
石綿総合情報ポータルは、元請業者等が事前調査結果の記録を3年間保存する必要があると案内しています。発注者自身の保存義務と同じ意味ではありませんが、所有者も調査結果の写しを受け取り、建物・工事関係の資料と一緒に保管しておくと、将来の売却、追加改修、相続時に説明しやすくなります。工事の元請業者のみなさまへ(石綿総合情報ポータル)
現場掲示で確認できる内容
解体・改修現場では、事前調査結果の概要を見やすい場所に掲示します。所有者は掲示を作成する専門家ではありませんが、着工前に掲示予定の場所と内容を施工業者へ確認できます。調査年月日、調査方法、調査者、石綿含有建材の有無など、今回の工事と一致しているかを見ましょう。
発注者への書面説明
元請業者は、事前調査結果と、石綿がある場合の作業方法などを発注者へ書面で説明します。「石綿あり・なし」だけでなく、調査した部位、材料、判断根拠、除去等の方法、必要な報告・届出、工期への影響まで確認してください。分からない用語があれば、契約前に日常の言葉で説明してもらうことが大切です。
いつから変わった?アスベスト調査義務化の主な時期
2021年|書面調査・目視調査、記録・掲示が求められるように
石綿対策の規制は段階的に強化されてきました。2021年4月以降、設計図書などの書面による調査と、現地での目視調査を原則として両方行うこと、調査結果を記録・保存し、現場に掲示することが求められています。
掲示は石綿が見つかった場合だけのものではありません。厚生労働省の案内では、調査結果の掲示は石綿含有建材の有無や届出対象かどうかにかかわらず、全ての解体等工事で必要とされています。工事の元請業者のみなさまへ(石綿総合情報ポータル)
2022年|一定規模以上の工事は調査結果の報告が必要に
2022年4月以降に着工する一定規模以上の解体・改修工事では、元請業者または自主施工者が調査結果を報告する制度が始まりました。基準は、建築物の解体なら80㎡以上、建築物の改造・補修なら請負代金100万円以上、法令で報告対象とされる工作物なら請負代金100万円以上です。
ここでいう100万円は、調査費を除き、材料費と消費税を含む工事全体の請負代金で考えます。同じ会社が契約を複数に分けて請け負う場合は、一つの契約として扱われます。工事を細かく分ければ報告を避けられる、という考え方ではありません。石綿事前調査結果の報告について(環境省)
2023年|建築物の調査は有資格者による実施が必要に
建築物・鋼製船舶の事前調査は、2023年10月1日から、建築物石綿含有建材調査者など一定の要件を満たす者が行うことが必要になりました。住宅の解体やリフォームを依頼する場合は、誰が調査し、その人がどの区分の調査者なのかを確認する意義が大きくなっています。事業主の方々へ(アスベスト)(厚生労働省)
2026年|工作物の調査にも資格要件
2026年1月1日からは、法令で定める工作物の事前調査について、工作物石綿事前調査者などの資格要件が適用されます。工作物には住宅以外の施設・設備が含まれる場合がありますが、すべてが同じ対象ではありません。煙突、ボイラー、配管設備など、建築物と工作物のどちらに当たり、どの資格者が必要か分かりにくい案件では、工事会社や所管自治体へ確認してください。
制度の開始時期だけを覚えるより、「いま依頼する工事では、有資格者による事前調査が前提」と考える方が実務的です。
調査は誰ができる?有資格者と調査方法
建築物石綿含有建材調査者の区分
建築物の調査を依頼する際は、見積書や調査報告書に、調査を担当する人の資格・区分が記載されているかを確認しましょう。代表的には、一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者といった区分があります。
一戸建て等石綿含有建材調査者は、すべての建築物を調査できるわけではありません。原則として、一戸建て住宅と共同住宅の住戸内部に限られます。マンションの共用部、店舗、事業所、倉庫などでは、調査対象に合う資格かを確認する必要があります。建物の用途や工事箇所を伝え、資格の適合性を業者に質問しましょう。
書面調査、目視調査、分析調査の違い
調査は一つの作業だけで終わるものではありません。主な流れを知ると、説明を受ける際に理解しやすくなります。
- 書面調査: 設計図書、確認申請書、施工記録、過去の改修履歴、建材メーカー情報などを確認します。
- 目視調査: 実際の建物を見て、材料の種類、施工箇所、劣化や隠れた部分の状況を確認します。
- 分析調査: 書類・目視だけでは石綿含有の有無が判断できない材料がある場合に、試料を採取して専門機関で分析します。
- みなし: 分析を行わず、石綿を含むものとして必要な対策を取る判断です。
書面が残っていないことは珍しくありません。その場合に「書類がないから調査できない」と止まるのではなく、目視や必要に応じた分析を含め、どの方法で判断するかを確認することが大切です。反対に、建材の表面だけを見て即座に「石綿なし」と結論づける説明には注意が必要です。
結果の説明で聞きたい3つの質問
調査結果の説明を受けたときは、専門用語をすべて覚える必要はありません。次の3点を聞けば、次の判断がしやすくなります。
- 今回の工事で触る範囲は、どこまで調査したか。
- 石綿含有の可能性がある材料は、どこにあり、どう判断したか。
- 工事を進めるために、追加の分析、報告、届出、工程変更が必要か。
不明点を遠慮なく質問できることも、適切な業者選びの一部です。調査の内容や結果を分かりやすく説明する姿勢があるかを確認しましょう。
調査結果の報告が必要になる基準|80㎡・100万円
建築物の解体は80㎡以上が報告の目安
建築物を解体する工事では、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上になると、元請業者または自主施工者による調査結果の報告が必要です。延床面積全体ではなく、実際に解体する部分の床面積で判断する点に注意しましょう。
戸建てを一棟まるごと解体する場合は、この基準に該当することが多いと考えられます。ただし、具体的な面積の判定は工事範囲で変わるため、見積り時に「報告対象として手続を進めるか」を確認してください。
建築物の改造・補修は100万円以上が報告の目安
建築物の改造・補修では、請負代金の合計が100万円以上の工事が報告対象です。屋根・外壁の改修、内装を広く解体するリフォーム、設備更新を伴う改修などでは、金額基準を意識する必要があります。
請負代金には材料費と消費税を含みますが、事前調査の費用は含みません。請負契約を結ばずに施工させる場合も、通常であれば必要になる請負代金相当額を基準に考えます。
報告対象となる工作物は100万円以上が基準
法令で報告対象とされる工作物を解体・改造・補修する場合は、請負代金の合計が100万円以上なら報告対象です。建物の付属設備や敷地内の構造物を含む工事では、どこまでが建築物でどこからが工作物か、対象工作物に該当するか、また誰が調査を行うかを工事会社・所管行政へ確認しましょう。
報告は石綿が「ある」場合だけではない
事前調査結果の報告は、石綿が見つかった場合にだけ行う制度ではありません。一定規模以上の工事では、石綿がなかったという結果を含め、調査結果そのものを報告します。この点を理解すると、「石綿がなければ手続は不要」という誤解を避けられます。
報告は原則として、石綿事前調査結果報告システムを使って行います。紙による報告の可否や問い合わせ先は、工事場所を所管する自治体で確認できます。石綿事前調査結果の報告について(環境省)
届出が必要になるケースと「14日前」の注意点
特定粉じん排出等作業とは
調査結果により、吹付け石綿、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材など、飛散リスクが高い建材を扱う作業に該当する場合があります。このような特定粉じん排出等作業を伴う工事では、調査結果の報告とは別に届出が必要です。
届出の対象かどうかは、単に「石綿が含まれているか」だけでは決まりません。建材の種類、施工場所、作業内容などをもとに判断されます。結果説明の際には、石綿の有無だけでなく「届出対象の作業に当たるか」「飛散防止のためにどのような工程になるか」を確認してください。
発注者の自治体届出は、原則として作業開始14日前まで
届出対象の特定粉じん排出等作業を伴う場合、発注者は地方公共団体へ特定粉じん排出等作業実施届出を行います。原則として、作業開始日の14日前までに行う必要があります。粉じんの排出規制(環境省)
この「14日前」は、解体工事全体の契約日ではなく、届出対象となる作業の開始日との関係で考える必要があります。調査で届出対象となる可能性が判明した場合、すぐに着工できるとは限りません。売却・建替え・退去などの予定がある場合ほど、調査を後回しにしないことが重要です。
施工業者の監督署届出とは別に考える
発注者が自治体へ出す届出とは別に、施工業者が労働基準監督署へ計画届や作業届を提出する場合があります。誰が何を出すかは工事ごとに変わるため、「業者が全部やると言っているから大丈夫」と曖昧にせず、担当・提出先・期限を表にして確認しましょう。
石綿総合情報ポータルは、レベル1・2の材料が含まれる場合、施工業者が労働基準監督署へ必要な届出を行い、発注者は地方公共団体へ届出を行うと案内しています。小規模工事等の着工前に必要な手続きについて(石綿総合情報ポータル)
届出先や様式は自治体で確認が必要です。所在地の窓口は、環境省の案内から探せます。解体等工事における石綿飛散防止に関する報告・届出・お問い合わせ先(環境省)
発注者が契約前に確認したい7項目
1. 図面・改修履歴など、手元の情報を渡せるか
設計図書、建築確認申請の副本、過去のリフォーム見積書、設備交換の記録、購入時の資料などがあれば、最初に施工業者へ渡しましょう。手元に資料がなくても依頼を諦める必要はありませんが、ある情報を共有することで、調査の精度や説明の納得感が高まります。
2. 調査者の資格と、調査する範囲は明確か
「有資格者が調査する」と言われたら、調査者の氏名、資格の区分、調査する建物・部位の範囲を確認しましょう。戸建てだからといって、付属建物や共用部分のような範囲まで同じ資格で扱えるとは限りません。
3. 見積りに調査・分析の扱いが書かれているか
費用だけを比べると、調査や分析の扱いが見えにくくなります。見積りには、書面調査、現地調査、必要な場合の分析、調査報告書、諸経費などがどのように含まれるかを確認しましょう。石綿が見つかった場合に、何が追加になる可能性があるかも事前に聞いておくと、後からの認識違いを減らせます。
この記事は義務と手続を解説する記事です。実際の金額の考え方は、アスベスト解体の費用相場の記事で確認し、同じ条件で複数社の見積りを比べるようにしてください。
4. 調査結果と作業計画を、書面で説明してもらえるか
調査が終わったら、「石綿あり・なし」だけではなく、どの範囲をどの方法で調べたのか、工事はどのように進むのかを説明してもらいましょう。書面で受け取ることで、家族や売却先、管理会社と情報を共有しやすくなります。
5. 結果報告・届出の担当と期限が明確か
80㎡・100万円の結果報告、特定粉じん排出等作業の届出、施工業者側の監督署手続は混同しやすい項目です。次のように、担当と期限を一文で確認できる状態にするのが理想です。
今回の工事では、調査結果の報告は誰がどこへ行い、届出が必要になった場合は誰が何日前までに提出しますか。
説明が曖昧な場合は、その場で契約を急がず、書面で整理してもらいましょう。
6. 追加発見時の連絡・見積り変更ルールがあるか
解体や改修では、壁や天井の内部など、工事を進めてから確認できる部分が出ることがあります。追加の調査や対応が必要になったとき、誰が判断し、いつ連絡し、費用や工程をどう変更するかを、事前に確認しておくと安心です。
「連絡なしに追加作業を進めない」「変更前に根拠と見積りを説明する」といったルールが共有されているかは、金額だけでは測れない信頼性の一つです。
7. 工事後にどの記録を受け取れるか
アスベスト対策では、工事中の飛散防止措置や作業状況を記録することが大切です。工事後に、調査結果、必要な届出の控え、作業状況の記録・写真などをどの範囲で受け取れるかを確認しましょう。将来、建物を売却・改修する場合にも、経緯を説明する資料として役立つ可能性があります。
未来に繋げる解体ミライズ株式会社エム・ユー
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工事の規模別|アスベスト調査の考え方
戸建てをまるごと解体する場合
戸建てを一棟解体する場合は、多くの材料に手を加えるため、事前調査の範囲も広くなります。解体部分の床面積が80㎡以上なら、調査結果の報告も必要です。見積りを依頼する際は、建物本体だけでなく、物置、車庫、塀、庭まわりの工作物、残置物の扱いをどこまで含めるかも共有しましょう。
特に空き家では、図面や改修履歴が見つからないことがあります。その場合も、書類がないことを隠さず、早めに伝えてください。調査方法、必要な分析、届出対象の可能性を確認したうえで、無理のない工程を組むことが重要です。
外壁・屋根の改修をする場合
外壁材や屋根材を撤去・切断・穿孔する工事では、対象建材の確認が必要になります。塗装だけのように見える工事でも、下地補修や既存材の除去を伴うかで調査範囲が変わります。
見積りの「外壁工事一式」という表現だけでは、どこに手を加えるかが分かりません。撤去する材料、補修する部位、足場設置時に穴を開ける箇所などを業者と確認し、調査結果を工事計画へ反映してもらいましょう。
室内リフォーム・原状回復をする場合
キッチン、浴室、トイレ、和室から洋室への変更、壁紙・床材の張替えなどでも、壁・天井・床下地に手を加える場合は事前調査が関係します。賃貸物件では、オーナー、管理会社、入居者、施工業者の役割が分かれることがあります。
誰が発注者に当たるか、物件資料を誰が持っているか、工期を誰が決めるかを早めに整理しましょう。原状回復の期限が迫っていても、必要な調査や届出を飛ばして進めることはできません。
エアコンなどの小工事をする場合
エアコン取付のために壁に穴を開ける、配線用の穴を開ける、古い内装材を一部撤去するなど、小さな工事でも事前調査の考え方は変わりません。実務上は、工事内容が小さいほど「調査の説明が省かれやすい」ことがあります。
依頼時に「小工事ですが、石綿の事前調査はどう進めますか」と一言確認することで、手続の見落としを減らせます。報告基準に届かない場合も、調査結果を発注者へ説明してもらうことは重要です。
よくある誤解と注意点
報告が不要なら、調査も不要?
いいえ。80㎡・100万円は、自治体へ調査結果を報告する基準です。事前調査は、原則として全ての解体・改修工事で必要です。ここを取り違えると、小規模工事での確認漏れにつながります。
目視だけで「石綿なし」と判断できる?
目視は調査の重要な一部ですが、書面調査と組み合わせて行います。判断が難しい材料では分析調査や、石綿含有として扱う判断が必要になる場合があります。調査範囲や判断方法を説明してもらい、根拠が不明確なまま工事を進めないことが大切です。
発注者には何の義務もない?
通常の事前調査や結果報告の実施主体は元請業者または自主施工者ですが、発注者にも情報提供、適正な費用負担、法令を守れる工期・作業方法への配慮が求められます。届出対象の特定粉じん排出等作業では、発注者が自治体へ届出を行います。
「業者任せ」ではなく、必要な説明・書類を受け取る姿勢を持つことが、発注者自身の安心にもつながります。
安い見積りだけで決めてよい?
調査、分析、届出、飛散防止などの扱いが見積りに見えないと、後から追加費用や工程変更の説明を受ける可能性があります。安さを理由に必要な手続を省く業者を選ばないためにも、内訳、資格、説明、変更時の連絡方法を比べましょう。
この点は、単に法律違反を避けるためだけではありません。近隣、作業する人、建物の所有者が、工事後も気持ちよく次へ進むための基本です。
義務違反の罰則と、所有者が避けたいトラブル
罰則は「誰が、何に違反したか」で異なる
アスベスト対策の罰則は、一律ではありません。義務者、違反した手続、関連する法令によって扱いが異なります。たとえば、一定規模以上の工事で必要な事前調査結果の報告をしない、または虚偽の報告をした場合、大気汚染防止法では30万円以下の罰金の対象となります。事前調査結果の都道府県等への報告(環境省)
これは「住宅所有者なら必ず罰金」という意味ではありません。通常、調査や結果報告の実施主体は元請業者または自主施工者です。一方、届出対象の特定粉じん排出等作業では、発注者が届出主体になります。工事内容に応じて、役割と期限を確認することが重要です。
発注者が避けたいのは、説明のないまま急いで着工すること
売却、建替え、退去、相続など、急いで工事を始めたい事情はあります。しかし、調査で追加確認が必要になったときに、説明を聞かずに着工を急がせると、工程・費用・近隣対応のどこかにしわ寄せが出るおそれがあります。
発注者ができる予防策は難しくありません。調査者の資格、調査範囲、結果の書面、報告・届出の担当、追加時の連絡方法を契約前に確認することです。必要な情報を残すことで、工事の内容を家族や関係者にも説明しやすくなります。
アスベスト調査の義務に関するよくある質問
Q. 調査者の資格証は確認できますか?
はい。調査を担当する人の資格区分と、今回の建物・工事範囲に対応できるかを業者へ確認しましょう。見積書や調査報告書に記載してもらうと、後からの確認もしやすくなります。建築物の調査は2023年10月から、一定の要件を満たす者が行う必要があります。事業主の方々へ(アスベスト)(厚生労働省)
Q. 調査の結果、石綿がないと分かったら何をすればよいですか?
調査結果を受け取り、工事範囲と結果に認識違いがないかを確認してください。一定規模以上の工事なら、石綿がない結果も含めて調査結果の報告が必要です。また、調査結果の記録・現場掲示は、石綿の有無にかかわらず必要になります。
Q. 調査費は誰が負担しますか?
工事を発注する側は、事前調査や、石綿が見つかった場合の除去等に必要な費用を適正に負担し、施工業者が法令を守れるよう配慮することが求められます。発注者・施主(石綿総合情報ポータル)
ただし、具体的な金額は建物の規模、図面の有無、採取・分析が必要か、工事範囲などで変わります。金額を知りたい場合は、義務の解説と混ぜず、アスベスト解体費用の記事で費目と見積りの比較方法を確認してください。
Q. 小さな修繕でも、依頼先に聞いた方がよいですか?
はい。エアコン取付、壁紙張替え、外壁工事、塗装、原状回復なども、工事でどの材料に手を加えるかによって事前調査が必要です。小工事だからと自己判断せず、着工前に確認しましょう。小規模工事等の着工前に必要な手続きについて(石綿総合情報ポータル)
Q. 自治体への届出は業者が出してくれますか?
通常の調査結果報告は元請業者または自主施工者が行います。一方、届出対象となる特定粉じん排出等作業の自治体届出は、発注者または自主施工者が行う手続です。実務上の作成支援・提出方法は業者へ確認できますが、誰が届出者で、どの控えを保管するかは契約前に明確にしてください。
Q. 「アスベスト 調査 義務」と「アスベスト 解体 費用」は何が違いますか?
前者は、調査が必要か、誰が行うか、報告・届出をどう進めるかを確認する記事です。後者は、調査・除去・廃棄などにどのような費用項目があり、見積りをどう比べるかを知るためのテーマです。まず義務と手続を理解してから費用を確認すると、見積りのどこを比較すべきかが分かりやすくなります。
まとめ|調査を「見えないまま」にしない
アスベスト調査の義務について、特に大切な点を3つにまとめます。
- 解体・改修工事では、規模にかかわらず原則として事前調査が必要です。報告基準に満たない小工事でも、調査不要とは限りません。
- 事前調査、調査結果の報告、特定粉じん排出等作業の届出は別の手続です。元請業者・自主施工者・発注者の役割を分けて確認しましょう。
- 発注者は、図面や履歴を共有し、資格、調査範囲、書面説明、報告・届出の担当、追加時の連絡方法を契約前に確認することが重要です。
解体や改修は、建物を壊す・直すだけではなく、これまでの暮らしに区切りをつけ、次の時間へ進むための工事でもあります。だからこそ、見えない部分の確認を曖昧にせず、納得して進められることを大切にしましょう。
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※アイキャッチ・本文画像は生成イメージであり、ミライズの実際の施工・調査写真ではありません。
