名古屋市内の空き家を解体したいものの、「補助金はいくら受け取れるのか」「先に解体業者へ依頼してもよいのか」と迷っていませんか。
結論からお伝えすると、名古屋市には、空き家なら一律に利用できる解体補助金はありません。建物の危険度、着工時期、構造、耐震性、所在地などにより、検討する制度が変わります。主な制度は次の3つです。
- 老朽危険空家等除却費補助金:上限40万円または80万円
- 戸建木造住宅除却助成:上限20万円
- 主な木造住宅密集地域の老朽木造住宅除却助成:上限40万円
特に注意したいのは、補助金の交付決定より前に契約・着工すると、対象外になる制度があることです。まず名古屋市の担当窓口へ相談し、制度を確認したうえで、解体会社の現地調査と見積もりを進めましょう。
この記事では、2026年度の名古屋市公式情報をもとに、3制度の違い、対象条件、申請から解体までの順番、対象外だった場合の費用確認ポイントを解説します。
名古屋市で空き家の解体に使える補助金は主に3制度

個人が所有する一般的な空き家・古い木造住宅の全棟解体では、まず次の3制度を確認します。
| 制度 | 主な対象 | 補助額 | 最初の相談先 |
|---|---|---|---|
| 老朽危険空家等除却費補助金 | 市が特定空家等と判断し、危険度評価75点以上の家屋 | 75点以上:工事費の1/3・上限40万円/125点以上:2/3・上限80万円 | 地域振興課 052-972-3126 |
| 戸建木造住宅除却助成 | 木造密集地域外にある、1981年5月31日以前着工の耐震性が不足する戸建木造住宅 | 工事費等の1/3・上限20万円 | 耐震化支援課 052-972-2921 |
| 老朽木造住宅除却助成 | 市指定の主な木造住宅密集地域にある、1981年5月31日以前着工の耐震性が不足する木造住宅 | 工事費等の1/3・上限40万円 | 市街地整備課 052-972-2752 |
「最大80万円」という金額だけを見て、通常の空き家も対象になると判断してはいけません。80万円の上限が適用されるのは、市が特定空家等と判断した家屋のうち、「老朽危険空家等の評価」が125点以上となる場合です。
また、検索時には「名古屋市」と「北名古屋市」を混同しないよう注意してください。別の自治体であり、制度・条件・窓口も異なります。
戸建木造住宅除却助成は上限20万円

主な木造住宅密集地域以外にある古い戸建木造住宅は、名古屋市の「戸建木造住宅除却助成」を利用できる可能性があります。空き家であること自体ではなく、築年・構法・耐震性などが判断の軸です。
主な対象条件は次のとおりです。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に着工した住宅
- 2階建て以下の戸建木造住宅
- 在来軸組構法または伝統構法
- 名古屋市の無料耐震診断で判定値1.0未満、または「容易な耐震診断」で倒壊の危険性があると判断された住宅
- 耐震改修工事補助金や耐震シェルター等設置補助金を受けていない住宅
- 個人が所有する住宅
プレハブ・ツーバイフォー工法などは対象外です。また、法人所有の戸建木造住宅も対象になりません。
補助金額の計算方法
補助額は、次の3つのうち最も低い金額です。千円未満は切り捨てられます。
- 20万円
- 対象住宅を除却する費用の3分の1
- 延床面積に9,600円/㎡を掛けた額の3分の1
たとえば延床面積80㎡なら、3の計算額は25万6,000円です。しかし上限は20万円のため、工事費の3分の1が20万円以上であっても、交付額は最大20万円です。
交付決定前の契約・着工はできない
この制度は、解体工事の契約・着工前に申請し、交付決定を受ける必要があります。名古屋市公式ページでは、交付決定前に工事契約を結ぶと補助金を交付できないと明記されています。
申請は4月から受け付け、同年度2月末までに完了実績報告を提出できる計画が必要です。申請から交付決定までは通常2週間程度と案内されていますが、書類不備や個別事情も考慮し、余裕を持って相談しましょう。
詳しい条件と最新の様式は、名古屋市「戸建木造住宅除却助成」で確認できます。
木造住宅密集地域の老朽木造住宅除却助成は上限40万円

名古屋市が指定する「主な木造住宅密集地域」では、前章の制度ではなく「老朽木造住宅除却助成」を確認します。
対象区域は、大杉・杉村、米野、中村、日比津、御剱、大喜、下之一色、戸田、桜・笠寺・本星崎、呼続、鳥羽見・廿軒家の各指定範囲です。同じ町名でも区域外となる可能性があるため、町名だけで決めず、名古屋市の区域図または市街地整備課で確認してください。
主な対象は、1981年5月31日以前に着工した木造住宅で、登記事項証明書などに居宅・共同住宅と記載され、耐震診断等で倒壊の危険性があると判断された建物です。市税・都市計画税を滞納していない所有者であることなども求められます。
助成額は、次のうち低い方の3分の1で、上限40万円です。
- 対象住宅の除却費用
- 延床面積×9,600円/㎡
交付決定後に契約・解体を行い、工事後は2月末日までに完了届を提出します。交付決定前に契約・着工しないよう、まず事前相談を行ってください。
対象区域と申請書類は、名古屋市「老朽木造住宅除却助成」で確認できます。
老朽危険空家等除却費補助金は上限40万円・80万円

倒壊や部材の飛散などにより周辺へ著しい危険を及ぼす空き家は、「老朽危険空家等除却費補助金」の対象となる可能性があります。ただし、老朽化している、長く誰も住んでいないというだけでは対象になりません。
市が空家法・条例に基づく「特定空家等」と判断した家屋のうち、市職員の現地調査による評価が75点以上であることが必要です。
| 市の危険度評価 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|
| 75点以上125点未満 | 対象工事費の3分の1 | 40万円 |
| 125点以上 | 対象工事費の3分の2 | 80万円 |
対象工事費は、国が定める標準除却工事費による上限もあります。申請者は個人所有者で、共有者がいる場合は全員の同意が必要です。名古屋市税を滞納していないことなど、要綱の条件も満たさなければなりません。
この制度は先着順で、予算額に達すると受付が終了します。交付決定前に着工した工事は対象外で、交付年度の2月末までに工事と書類手続きを終える必要があります。危険な状態で急いでいても、自己判断で解体を始めず、予約のうえ地域振興課へ相談してください。
なお、申請書類の有償作成は行政書士法に関わります。解体会社が補助対象を決定したり、当然に申請を代行できたりするものではありません。
詳しくは、名古屋市「老朽危険空家等除却費補助金」をご確認ください。
自分がどの制度に当てはまるか確認する順番

制度名から先に選ぼうとすると、木造住宅密集地域の内外や危険度の条件を見落としやすくなります。次の順番で情報を整理しましょう。
1. 所在地と対象区域
まず建物が名古屋市内にあるか、主な木造住宅密集地域に含まれるかを確認します。北名古屋市など周辺自治体は制度が異なります。
2. 着工時期・構造・階数・用途
固定資産税の課税明細、登記事項証明書、建築確認関係書類などから、所有者、築年、構造、延床面積を確認します。旧耐震木造向け制度では、1981年5月31日以前の着工かどうかが重要です。
3. 耐震性または危険度
旧耐震木造の制度では、無料耐震診断の結果や容易な耐震診断調査票が必要です。危険空家の制度では、市職員の現地調査と市の判断が必要です。所有者や解体会社が外観だけで補助対象と確定することはできません。
4. 所有者と共有者の同意
相続した空き家では、登記上の所有者と実際に手続きを進める人が異なることがあります。共有者がいる場合は、全員の同意が必要になる制度があります。所有者を確認できない場合や相続登記が未了の場合は、契約前に担当課へ相談しましょう。
5. 市税と他の補助制度
市税の滞納や、過去に利用した耐震補助などにより対象外になることがあります。補助制度の重複利用は自己判断せず、名古屋市へ確認してください。
6. 年度内に完了できるか
3制度とも年度末近くに完了期限があります。家財整理、アスベスト事前調査、届出、近隣対応を含めると、解体までには準備期間が必要です。予算もあるため、検討段階から早めに相談します。
7. 解体後の土地利用
更地にした後、売却、建て替え、駐車場利用、当面保有のどれを選ぶかで、整地の仕上げや税務上の確認事項が変わります。補助金が使えるという理由だけで解体を決めず、解体後の方針も家族で話し合いましょう。
申請から解体・補助金受領までの流れ

細かな様式は制度によって異なりますが、基本的には次の流れです。
- 建物情報・所有者情報を整理する
- 名古屋市の担当課へ事前相談する
- 必要な耐震診断や市の現地調査を受ける
- 解体会社へ現地調査と見積もりを依頼する
- 必要書類をそろえて交付申請する
- 名古屋市から交付決定通知を受ける
- 制度の条件に従い解体工事を契約・着工する
- 工事完了後、期限内に完了報告を行う
- 補助金額の確定後、請求手続きを行う
制度によって「交付決定前は着工不可」とするものと、「契約・着工とも不可」と明記するものがあります。安全に進めるには、いずれも契約前に担当課へ確認してください。
申請前に準備する主な書類
- 所有者・建築年・構造・床面積を確認できる資料
- 耐震診断結果または容易な耐震診断調査票
- 位置図・配置図
- 建物全体と周辺が分かる現況写真
- 解体工事の見積書
- 納税証明書
- 共有者・権利者の同意書
見積書では、建物本体の解体、運搬・処分、家財、庭木・ブロック塀などの付帯物、アスベスト関連費、整地を分けて確認しましょう。すべてが補助対象経費になるとは限らないため、対象範囲は名古屋市へ確認します。
よくある失敗
- 補助金を知る前に工事契約を結んだ
- 交付決定を待たず着工した
- 建物だけを写し、周辺を含む現況写真を残していなかった
- 共有者全員の同意を確認していなかった
- 年度内の完了・報告期限に間に合わなかった
- 「最大80万円」を前提に資金計画を立てた
ミライズの現地調査から完工までの流れも公開していますが、補助金を利用する場合は、名古屋市が案内する申請・交付決定の順序を優先してください。
補助対象外でも解体費用を抑えるための確認ポイント

補助対象外でも、見積範囲と解体後の計画を整理すれば、想定外の追加費用を減らしやすくなります。
同じ条件で見積もりを比較する
安い・高いだけでなく、建物本体、基礎、付帯物、家財、アスベスト事前調査、養生、廃棄物処分、届出、整地の範囲を揃えて比較します。「一式」が多い見積書は、含まれる作業と追加費用の条件を確認しましょう。
契約前には、依頼先の会社情報と許認可も確認します。ミライズの会社概要では、運営会社である株式会社エム・ユー、一般建設業許可、愛知・岐阜・三重の産業廃棄物収集運搬業許可を公開しています。許認可は品質を自動的に保証するものではありませんが、依頼先確認の基礎資料になります。
家財整理・買取・解体を分けて総額を見る
家財が残る空き家では、処分する物と買い取れる物を整理し、家財費と解体費を分けて確認します。株式会社エム・ユーでは、遺品整理・家財買取・解体のワンストップ相談を案内しています。まとめて依頼すれば必ず安くなるという意味ではないため、費用、買取額、作業範囲、総額を見積書で比較してください。
相続・売却の判断は専門家にも確認する
共有名義、相続登記、売却、税金の判断が残る場合は、解体契約を急がず整理しましょう。ミライズでは、相続に関する不動産業者・弁護士・司法書士・税理士の紹介を相談できます。各専門業務の判断・契約・報酬は、それぞれの専門家へ確認してください。
遠方なら報告方法と整地条件を決める
遠方に住んでいて立ち会いが難しい場合は、報告方法、写真共有の頻度、地中埋設物などが見つかった場合の承認方法を契約前に決めます。ミライズは公式LINEで工事過程の写真を共有するサービスを案内しています。対象工事や報告条件は契約前にご確認ください。
解体後の整地も「きれいにする」だけでは基準が曖昧です。売却・建て替え・保有など次の用途を伝え、仕上がりを見積書へ反映しましょう。ミライズでは重機整地後の手作業仕上げを案内しています。
名古屋市の空き家解体補助金に関するよくある質問

空き家なら必ず補助金を受け取れますか?
いいえ。名古屋市には、すべての空き家へ一律に交付される解体補助金は確認できません。危険度、築年、構造、耐震性、対象区域、所有者条件などを満たす必要があります。
名古屋市の空き家解体補助金は最大80万円ですか?
老朽危険空家等除却費補助金で、市の評価が125点以上となった場合は工事費の3分の2、上限80万円です。通常の空き家が一律に80万円となるわけではありません。評価75点以上125点未満は上限40万円です。
すでに解体業者と契約した後でも申請できますか?
戸建木造住宅除却助成と木造密集地域の老朽木造住宅除却助成は、交付決定前に契約・着工すると対象外です。危険空家の制度も交付決定前着工は対象外です。個別の契約状況は、工事を始めず名古屋市の担当課へ確認してください。
相続登記が終わっていなくても相談できますか?
相談は早めに行ってください。名古屋市の戸建木造住宅除却助成ページでも、前所有者が亡くなった直後など、現在の所有者を書類で確認できない場合は事前相談するよう案内しています。申請可能か、必要な所有者確認資料は担当課が個別に判断します。
家財整理の費用も補助対象ですか?
家財整理費が当然に対象になるとは限りません。建物の除却、付帯物、家財、庭木などを見積書で分け、どこまで対象経費に含まれるか名古屋市へ確認してください。
解体会社に補助金申請を代行してもらえますか?
解体会社が補助対象を最終判断することはできません。また、報酬を得て官公署提出書類を作成する行為は行政書士法に関わります。申請手続きは名古屋市へ確認し、必要に応じて行政書士などの有資格者へ相談してください。
補助金はいつ受け取れますか?
一般に、交付決定後に契約・工事を行い、工事完了後の実績報告、補助額確定、請求を経て支払われます。戸建木造住宅除却助成では、請求から2週間程度で支払うと案内されています。制度ごとの支払時期と代理受領制度の利用可否を確認してください。
まとめ|契約前に名古屋市へ確認し、交付決定後に解体を進める

名古屋市で一般の個人所有者が確認したい空き家・木造住宅の解体助成は、主に次の3つです。
- 老朽危険空家等除却費補助金:上限40万円または80万円
- 戸建木造住宅除却助成:上限20万円
- 主な木造住宅密集地域の老朽木造住宅除却助成:上限40万円
大切なのは、「最大80万円」という金額から考えるのではなく、所在地、築年、構造、耐震性、市が判断する危険度、所有者条件の順に確認することです。補助金を利用したい場合は、次の順番を守りましょう。
名古屋市へ事前相談 → 現地調査・見積もり → 交付申請 → 交付決定 → 契約・着工 → 完了報告・請求
名古屋市の補助制度を検討しており、まだ工事契約をしていない方は、物件の所在地、築年、構造、共有名義、家財の有無、希望完了時期を整理したうえで、ミライズへ現地調査・解体見積もりをご相談ください。
参考にした公的情報
※記事内の制度内容は2026年8月10日時点の公開情報に基づきます。画像は内容理解を補助するためのAI生成イメージであり、実際の物件・調査・施工事例ではありません。
